体質について「解毒症体質」「瘀血体質」についてお話させていただきました。三大体質の1つ「臟毒体質」についてです。今回はこれについてお話させていただきます。一貫堂で言う「臓毒」とは臓器の毒で、いわゆる新陳代謝の悪さ(低下)が主な原因でると言えます。その他後天的な毒素(糖尿病、アルコールの多飲など)が身体の各臓器に蓄積した物も悪化の要因であり、「風毒、食毒、水毒、血毒」に分けられます。臓毒証体質の人とは先天的には身体が丈夫であるが、日頃よりの不摂生・暴飲暴食・いろいろな病気等のためにできた「臓毒」が蓄積され、その結果として病気になる人であり、そのためかバブルの頃をイメージされてか「メタボ体質の方」に防風通聖散(小林製薬のナイシトール)が使われるようになったように思います。ですので、コマーシャルではあたかも痩せ薬のように宣伝されていますが、防風通聖散は痩せる薬でもなんでもありません。確かに痩せる方もおられますが、それを目的に作られた薬でありませんので、結果として痩せたというだけでしょう。この薬を私は患者さんに「体のいろいろな場所にできた炎症をとる薬」であると説明しています。例えば、前回のブログでは高血圧は「心血管系の老化現象」であるとお話ししましたが、医学的には「動脈硬化とは血管の炎症反応のなれの果て」でると言えるでしょう。高血圧症に対して西洋医学では、ARBやCa拮抗薬を使用しますが、それだけではコントロールがうまくいかない患者さんもよくおられます。そのような時、防風通聖散をはじめとするいくつかの漢方薬をその方の体質にあわせて併用すると本当にコントロールが楽になります。患者さんにもっとも都合が良いように西洋医学と東洋医学のいいところをチョイスして治療を行う、これが私の考え方です。「内外合一、活物窮理」これは華岡青洲の医療に対する考え方を示した言葉ですが、私の医の理念でもあります。内外合一とは、「外科を行うには、内科、すなわち患者さんの全身状態を詳しく診察して、十分に把握した上で治療すべきである」という意味です。活物窮理とは、「治療の対象は生きた人間であり、それぞれが異なる特質を持っている。そのため、人を治療するのであれば、人体についての基本理論を熟知した上で、深く観察して患者自身やその病の特質を究めなければならない」という教えです。「内外合一、活物窮理」はわずか八文字の言葉でありますが、これは青洲の医療理念、そして人生哲学でもありました。青洲の時代に比べ、現代の医療技術は格段に進歩しました。しかし、専門性が高まるあまり、自らの専門分野以外には対応できないあるいは対応しない医師の存在、マニュアルに沿った診療しかできない、病気を診て患者を診ない医師の存在が問題視されています。今の時代に必要な物、それこそが"内外合一、活物窮理"の精神といえるのではないでしょうか。