8月14日の夜に父が他界しました。胃癌の術後で自宅療養中に、転けて頭をぶつけ、そのまま脳出血をおこすというなんともあっけなさ過ぎる最後でした。しかし、本当の意味で、まったく苦しまずに死んでいったので、家族も本人も楽だったと思います。ここ数年は、頚椎症を始め、膀胱癌、心筋梗塞、胸水貯留、最後に胃癌と複数回の手術、入院を何度も繰り返してきました。そのたび不死鳥のようによみがえり、昨年の12月に胃癌の手術を行う、まさにその直前まで井上医院の外来をしてくれていました。その姿は、幾多の病気をしても克服し、決して取り乱さない、まさに鬼神のような姿であったと思います。ただ残念であったのは、父が心待ちにしていた新医院、最後の仕事であった「井上ペインクリニック」の完成を見ずに行ってしまったことです。一度でもいいから、新医院で診察をさせたかったと言うのが私の唯一の望みでした。それが出来なかった事が残念でありません。結果的にこうなった以上、これだけはもはや仕方ありません。確かに父の体は物言わぬ屍となりましたが、その魂が消えた訳ではありません。その魂は私の中に確実に生き続け、その魂はまた我が子に受け継いで行くわけです。それが「真の親子」というものだと私は思っています。いつか父が「よくやった」と言ってくれるようにがんばる事が真の恩返しだと思っています。
テレビ 子連れ狼最終回より
「川は海に注ぎて波となる
大きなうねりの波 小さなうねりの波
寄せては返し繰り返し 繰り返し絶ゆることは無い
人の生命もこの波と同じく
生まれては生きて 死んではまた生まれる
ほどなく 父の五体は物言わぬ屍となろう
だが生命は波に同じく絶ゆることはない
来世という岸頭に向かいて また生まれ変わるべくうねって行く
五体は死んでも 父の生命は永遠に不滅なのだ
お前の命も然り
我らの生命は絶ゆることなく 永遠に不滅なのだ
父の皮破るるも 血が噴くとも うろたえるな
父の五体倒るるも ひるむな
父の目閉じらるるも その口開かぬとも 恐るるな
生まれ変わりたる次の世でも父は父
次の次の世でも 我が子はお前ぞ」